研究プロジェクト

推論による仮説発見とシステム生物学への応用

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研究目的

生命・細胞・生体をシステムとして理解するためのシステム生物学が最近注目されている。 この中でも、代謝経路においてある代謝物の生成がどの反応により促進または阻害され、 どの経路が支配的に使われたかを知ることは非常に難しい問題である。 これらの情報が仮説として得られれば微分方程式系によるシステム解析が可能になり、 特定の代謝物の増殖に関する系全体での巨視的な目標を達成する有効な手段となる。 こうした問題を解くためには、未知で有用であると考えられる知識を発見しなければならない。

われわれは論理的な発見手法であるアブダクションとインダクションに着目し、 アブダクションとインダクションに共通する手法として、 演繹手法である結論発見手続きであるSOL導出を利用し、 CF帰納法と呼ばれる帰納推論手続きを提案している。 しかしながら、現状のSOL導出とCF帰納法による発見においては、 仮説探索の領域が大きいため効率の改善が必要なこと、 および得られた多くの仮説からより良い仮説を選ぶ手段が弱いこと、の2点が課題として挙げられている。

以上の背景の下で、本研究課題ではこれまでの仮説発見に関する研究成果を発展させて、
(A) SOL導出およびCF帰納法による仮説発見のさらなる効率化と高機能化を図り、
(B) 確率的・非確率的手法との融合による有効な仮説選択方法の開発と実現を行い、
(C) システム生物学におけるパスウェイ推論に応用し評価する。

すなわち、背景知識と観測データから、アブダクションおよびインダクションにより観測を説明するための仮説を推論し、これらの仮説が多数得られた場合には確率推論等により尤もらしい仮説を選択する理論を構築・実現することを研究目的とする。

メンバー

井上克巳 代表研究者 国立情報学研究所・情報学プリンシプル研究系
佐藤泰介 分担研究者 東京工業大学・情報理工学研究科
亀谷由隆 分担研究者 東京工業大学・情報理工学研究科
岩沼宏治 分担研究者 山梨大学・医学工学総合研究部
鍋島英知 分担研究者 山梨大学・医学工学総合研究部
坂間千秋 分担研究者 和歌山大学・システム工学部
藤山秋佐夫 連携研究者 国立情報学研究所・情報学プリンシプル研究系

研究資金

科学研究費補助金 基盤A一般

自己評価報告書 (平成22年度)

会議等

2008.10.30 - 11.3 第1回研究会 (FJ'08と合同開催)
2009.3.23 - 24 第2回研究会
2009.9.21 - 9.25 第3回研究会 (FJ'09と合同開催)
2010.3.9 第4回研究会
2010.9.6 第5回研究会
2011.3.14-15 第6回研究会
2011.9.12-13 第7回研究会

お問い合わせ

宋 剛秀: soh at nii.ac.jp

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