日本眼科学会と国立情報学研究所は、眼底写真から年齢を推定するAIを研究開発し、そのモデルを無償公開しました。

ヒトの健康状態は年齢と密接に関係しています。がんや認知症などの発症は年齢を経るとともに頻度が高くなり、生活習慣病のリスクも増加します。年齢は単に経てきた年月を数えた暦年齢 (chronological age) と、身体の老化の状態を考慮に入れた生物学的年齢 (biological age) があり、健康状態と関係している年齢は生物学的年齢です。しかし、暦年齢は生年月日から容易に計算することができますが、生物学的年齢を算出することは容易ではありません。

眼底の網膜は光を受容するための組織で、光を感受する視細胞以外にも神経線維や色素細胞、血管が規則正しく配置されて機能しています。外界からの光を受容するという特質上、網膜は体外から光学的に観察しやすい器官でもあります。実際、ヒトの体の中で唯一、網膜は血管の状態を直接観察できる部位とされています。そのため、眼底写真を利用して通常では簡単には観察できない組織の状態から生物学的年齢を推定する方法が模索されてきました

そこで、日本眼科学会ではNIIと共同で眼底写真から生物学的的年齢を精度良く推定するAIを開発し、広く医学研究に役立ててもらうために無償公開することにしました。公開したAIの詳細はJapan Ocular Imaging Registry (JOIR)眼底年齢評価モデルをご参照ください。

国立情報学研究所プレスリリース https://www.nii.ac.jp/news/release/2023/0110.html

Update

ニュースリリースの英語版を発表し、EurekAlert!にて国際配信されました。