緑内障を眼底画像から判定する深層学習について、RCMB と日本眼科学会との共同研究の成果を Japanese Journal of Ophthalmology 誌へ論文発表しました。NII 佐藤研究室の Phan さんの研究です。
眼底のカラー画像3,312枚を3種類の畳み込み深層ニューラルネットワーク (deep convolutional neural networks, DCNNs) に学習させ、緑内障を判別する DCNN の性能比較と同時に、画像の解像度や画質が判別の性能に及ぼす影響を調べました。眼底画像の内訳は369眼の緑内障、256眼の緑内障疑い、2,687眼の正常眼で、いずれも眼科医による診断を正解としています。DCNN には VGG19、ResNet152、DenseNet201 を使っています。画像の解像度は512x512と256x256を設定し、画質による影響を検討する実験では465画像の低品質 (コントラスト不良など) 画像を追加しています。
いずれの DCNN も0.9以上の AUC (areas under the curve) を示し、画像解像度による判別性能への影響はほとんど観察されませんでした。低品質画像の判別ではいずれの DCNN も顕著に性能が低下 (AUC で0.1〜0.2の低下) しました。ヒートマップによる観察では、いずれの DCNN も視神経乳頭の領域に高い寄与率を認めました。学習に用いる画像の枚数を10倍すると約0.1の AUC 改善を観察し、深層学習では DCNN の種類よりも学習データの数が重要であることを再確認しました。
https://doi.org/10.1007/s10384-019-00659-6