日本医用画像工学会の学会誌 Medical Imaging Technology に特集「医療ビッグデータの利活用を目指した医学系学会とAI 画像解析研究者との連携」を組んでいただきました。AMED 受託研究で RCMB と画像解析研究をともにしている研究室の方々に寄稿していただきました。

https://www.jstage.jst.go.jp/browse/mit/37/2/_contents/-char/ja

Medical Imaging Technology, Vol. 37, No. 2, 2019

特集/医療ビッグデータの利活用を目指した医学系学会とAI 画像解析研究者との連携

発行日: 2019/03/25
公開日: 2019/04/16


特集/医療ビッグデータの利活用を目指した医学系学会とAI 画像解析研究者との連携
p. 65-66
佐藤 真一


AMED プロジェクトの概要:クラウド基盤と AI 画像解析
p. 67-71
佐藤 真一, 合田 憲人, 村尾 晃平, 二宮 洋一郎
本論文では,国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の研究事業(以下では,AMEDプロジェクトと記す)について,背景,狙い,体制,プロジェクトを支えるクラウド基盤の仕組み,プロジェクトの進め方(PDCAサイクル,タスク設定のチェックポイント)などについて述べ,後続の稿の概観を示す.


東京大学の取り組み:病理・内視鏡画像における胃がん検出支援
p. 72-77
黒瀬 優介, 原田 達也
深層学習によって,医療画像に対しても高い精度をもつさまざまなアルゴリズムが開発されている.しかし,これらはある特定の疾患に限定されたものが多く,画像収集の難しさから多種多様な疾患への対応には至っていない.そこで,医学系の学会と連携して画像収集とアルゴリズム開発を行うAMEDプロジェクトが始まった.本稿ではそのプロジェクトに参加しているわれわれの病理画像と内視鏡画像の胃がん検出タスクにおけるこれまでの進捗と知見について述べる.


九州大学の取り組み:内視鏡画像診断支援の取り組み
p. 78-83
早志 英朗, 安部 健太郎, 備瀬 竜馬, 内田 誠一
バイオ医療画像解析について,これまで行ってきた活動を紹介する.また,プロジェクトの取り組みとして,内視鏡画像を対象とした胃の部位ラベル付きデータセットの構築について述べる.特に,専門医からの情報提供と画像解析の結果を繰り返しやり取りして精密化する方法をとったことを紹介する.また,今年度,新たに設定されたタスク(潰瘍性大腸炎,十二指腸乳頭)についても取り組み状況を紹介する.


名古屋大学の取り組み:放射線画像診断支援と内視鏡画像解析
p. 84-88
小田 昌宏, 申 忱, 小田 紘久, 森 健策
本稿では,われわれがAMED プロジェクトにおいて行ってきた医用画像解析研究について紹介する.具体的には,非造影腹部CT 像からの血管診断支援およびCT 像からの腹部複数臓器自動セグメンテーションを含む放射線画像診断支援研究,胃および大腸の内視鏡画像の観察部位分類を含む内視鏡画像解析研究を行った.これらの研究を概説し,得られた成果等について述べる.


大規模CT画像データベースのAI画像解析による筋骨格解剖の理解と手術支援システムへの応用
p. 89-94
大竹 義人, 日朝 祐太, 高尾 正樹, 菅野 伸彦, 佐藤 嘉伸
本稿では,AMEDが支援する医学系学術団体と国立情報学研究所とが連携して構築している,大規模かつヘテロな(取得施設・患者属性・疾患などのばらつきの大きなデータから構成される)医用画像データベースを用いた画像処理について述べる.特に,日本医学放射線学会がデータ提供元となっているCT画像データベースでは,撮影対象部位が全身の各部に及び,特定の対象疾患が決まっていないため,画像データのバリエーションが大きい.このデータベースに対して,多様体学習による次元圧縮とクラスタリングを適用し,目的とする解析に必要なデータを抽出した後,AIを用いた全自動画像解析を適用した.ここでは整形外科での応用例として,筆者らがこれまでに開発してきた筋骨格解剖の自動認識システムを大規模症例に対して適用した例を紹介する.整形外科手術においては,患者個別の筋骨格解剖の理解は不可欠であり,性別・年齢等,それぞれの属性ごとの筋骨格解剖の統計的分析は,診断や手術計画の支援に有用である.