2020/02/25:延期に関する重要なおしらせ

昨今の社会情勢を踏まえ、残念ですが、延期する決定をいたしました。 楽しみにされていた方々、まことに申し訳ございません。様子を見ながら、3か月、あるいは半年後をめどにを再度行いたいと思います。よろしくお願いします。

概要

ビッグデータの利用、ディープラーニング技術の発達により、AIは単なる先端技術ではなくなりました。産業・ビジネスで使われる最新技術となり、新しいビジネスモデルの開拓や既存の業務の改善には、必ずと言っていいほど AI 技術が入り込むようになりました。その一方で、最近では AI のブラックボックス化が大きな懸念となっています。AIの決定を無条件に信じることの危うさだけではなく、フィルターバブル(見たい情報しか見られない状況に無自覚に陥っている状態)や公平性の課題など、AIが「素直に」最適化する結果が人々や社会に与える影響の負の面に急速に注目が集まっています。学術分野でも大きな動きが出てきていますが、数理モデルの改良により解釈性や公平性を取り込もうとする動きにとどまっています。数字で表すことが難しいこれらの人や社会に関わる概念を、直接的に解決する方向には至っていません。

我々は、10年近く昔から、データと解を人にとって理解しやすくする、という方向から、この種の問題に取り組んできました。当時はまだディープラーニングもAIブームもなく、解釈性や公平性の必要性も大きく取り上げられていませんでしたが、それでも、ビジネスの現場の方々の中には、ブラックボックスに対する憤りがあふれているように見受けられました。そこで、データ研磨というデータを明確化する技術を作りました。データを粒子という構造にして「わかりやすく」することで、解析結果やデータの背後にある社会や顧客そのものを理解し、公平性や安定性などの危険因子を見つけやすくする、ユーザの思考支援のアプローチから研究開発を行いました。2015年からは科学技術振興機構 CREST プロジェクトとして研究を進め、研究開始時に行ったシンポジウムには、産業界からの方々を中心に多数の参加をいただきました。

今回のシンポジウムではCRESTプロジェクトで開発してきた技術と、これからのデータ解析に必要となるであろう新しい課題を提示していきます。次世代のAI技術の方向を思案されている産業界と学術会の方々の広いご参加をお待ちしております。

日時
2020年2月27日(木) 13:10 〜 17:40
場所
〒101-8430 東京都千代田区一ツ橋2-1-2 国立情報学研究所 2階中会議室

参加登録

登壇者

顔写真: 宇野毅明

宇野 毅明 (国立情報学研究所)

アルゴリズム理論、データマイニングなどの基礎技術を用いて、情報学、自然科学、産業での幅広い分野で研究を行っている。特に、列挙アルゴリズム、パターンマイニング、クラスタリングにおけるアルゴリズム開発を精力的に行っており、バイオ情報学、触媒化学、婚活、腸内細菌解析、ネット広告などでの共同研究がある。

2010年文部科学省表彰 若手科学者賞受賞。

顔写真: 中原 孝信

中原 孝信 (専修大学)

ビジネス分野におけるデータマイニングの理論と実践に関する研究に従事し、データによる現場の把握と価値を見出すモデリングを得意とする。ビッグデータを利用したデータ分析について企業との共同研究も積極的に進めている。データ研磨技術を利用した応用研究でデータ解析コンペティションの最優秀賞を受賞。他に受賞歴多数。

顔写真: 岩﨑 幸子

岩﨑 幸子 (国立情報学研究所)

ビジネスデータにおけるデータマイニング手法とその利活用に関する研究に従事。CRESTプロジェクトにてデータ解析を担当する。小売業、情報システム業を経て現職。

顔写真: 羽室 行信

羽室 行信 (関西学院大学・准教授)

データマイニングのビジネス応用を中心として企業における情報システムの研究に従事。データマイニングソフトウェアNYSOLの開発、各種国家プロジェクトへの参加、企業からの受託研究などを手がけている。最近の著書に『データマイニングとその応用』(朝倉書店、2008年)。2005年および2008年に日本OR学会事例研究賞を受賞。その他2006年および2013年度データ解析コンペティション最優秀賞など受賞多数。

顔写真: 中小路 久美代

中小路 久美代 (公立はこだて未来大学・教授)

人との対話によって人の創造性を支えるソフトウェアシステムや、知識共創としてのソフトウェア開発支援の研究に従事。専門は、ヒューマンコンピュータインタラクション、ソフトウェアデザイン、および知的創造活動支援。特に知的創造作業のためのナレッジインタラクションデザインに関する研究。文部科学省科学技術・学術審議会委員等歴任。

顔写真: 山本 章博

山本 章博 (京都大学・教授)

データ科学イノベーション教育研究センター長併任。 情報学研究科では数理論理や形式文法など数学的な意味を持つ表現を対象とした知識発見・機械学習の研究に従事する一方、センター長としてデータサイエンス教育の設計と実施に従事。

プログラム

2020年2月27日

13:10 - 13:30
イントロダクション- データ粒子化が拓く新しいデータマイニングの世界 
宇野 毅明 (国立情報学研究所・教授)
13:30 - 14:05
データの関係性から新しい気付きを得るための分析アプローチの紹介
中原 孝信 (専修大学・准教授)
14:05 - 14:40
クラスタリング分析の解の信頼性と対処のアプローチ
岩﨑 幸子 (国立情報学研究所・特任技術員)
14:40 - 15:00 BREAK
15:00 - 15:35
触発と知識共創を指向するデータ体験とビジュアルインタラクティビティ
中小路 久美代 (公立はこだて未来大学・教授)
15:35 - 16:10
AI自然言語処理とテキストマイニング
羽室 行信 (関西学院大学・准教授)
16:10 - 16:30 BREAK
16:30 - 17:05
形質からせまる意味とデータとのつながり
宇野 毅明 (国立情報学研究所・教授)
17:05 - 17:40
解釈可能な知識の抽出に向けた数学的に意味を持つ粒子の発見
山本 章博 (京都大学・教授)

アクセス