コンピュータサイエンス研究は、今、とても伸びている学問分野です。情報科学に限らずさまざまな学術と産業において、コンピュータサイエンスの技術や考え方を導入することで、今までにはなかった研究や技術革新などの成果が得られるようになってきました。 学問の世界で、コンピュータサイエンスはこれまでに応用されてきた理学・工学・数学だけでなく、医学や生命科学、そして一部の社会科学でも研究の重要な手法として活用されはじめています。産業では、AIやディープラーニングなどを活用した情報技術が政府や企業が提供するサービスを通じて私たちの生活に恩恵を与えています。例えば、防災に役立つ津波のシミュレーションのような、目にみえないところで巨大な仕事をしているものから、スマホのように毎日使う身近なデバイスや検索エンジンまで、生活と社会のいたるところで活用され、日々進化を続けています。そして、その進化は私たちの社会や、意識、生き方にも大きな影響を与えています。 コンピュータサイエンスが分野やセクターを超えて応用されやすいのは、それが「道具の科学」、あるいは「方法論の学問」だからです。研究の目的そのものが、物事をよりうまく、効率よく行うための考え方と技術を提供するものであるからこそ、人々があらゆる問題を解決する役に立ちます。そして、多分野で技術が求められ、想像もしなかった使い道や、新しい価値と仕事が生み出されることで、さらに研究発展が加速される好循環が起きています。
一方で、研究が急速に発展することで、社会に予想外の影響が生まれることがあります。記憶に新しい例は、新型コロナウイルス感染症のパンデミック初期に起きた、SNSのデマによるトイレットペーパー買い占め事件です。
日本で最初の新型コロナウイルス感染者が発見された1ヶ月後の2020年2月、Twitterで「中国でトイレットペーパーの製造と輸出ができなくなるので、トイレットペーパーが不足する」というデマがツイートされました このデマ・ツイートが拡散されうる可能性は、情報技術のおかげですぐに認知されました。自治体や製紙業界は、すぐに買い占め予防のため「トイレットペーパーの在庫は十分にある」と訂正情報を未然に拡散することができました。マスメディアもこのデマの存在を大々的に取り上げました。 ところが、適切に誤情報を訂正したにもかかわらず、トイレットペーパーの買い占めは起きてしまったどころか、日本全体で供給不足になってしまったのです。トイレットペーパーが店から消え、全国の薬局で限られた供給を手に入れるための列ができるほどでした。 実は、買い占めは訂正情報のほうが原因で起きていたことが後の研究でわかりました。はじめにツイートされたデマは、実はさほど拡散されていなかったのです。デマ拡散と人々の不安を予期し、未然に防ぐための訂正情報を前もって拡散したことが、むしろ元の誤情報の存在を知らしめる原因となり、人々の買い占め行動を助長する結果になってしまったのです。
トイレットペーパー買い占め事件は、デマをデマと判断する最新の情報技術が応用され、迅速に正しい情報を周知したことでむしろ起きてしまいました。 その原因は、現代のコンピュタサイエンスの技術でカバーしきれていない、人の心や認知行動、社会に対する盲点にあります。「デマを訂正する情報を流せば、デマを見た人にも拡散される(実際には、デマを流した人は訂正情報をシェアしない)」、「訂正情報を見た人は、安心して買い占めをしない(実際には、訂正情報自体が不安を煽る)」といった思い込みが、技術を応用した時の副作用として認識されていなかったために、思いがけない人の動きを作り出してしまったのです。
こうした盲点が生じるのはなぜでしょうか?そこには、コンピュータサイエンスが、人々が期待を寄せる分野であるからこその、背景があります。 技術革新が起きている時には、「この技術を使って何ができるか?」に注目しすぎてしまいます。ワクワクするような新しい技術が次々生まれている状況では、この最新技術でどんな新しい研究、製品、サービスが生み出せるかに関心が向かい、技術が先行した物の考え方をしてしまいます。技術が発展した先の、明るい未来のイメージを自然と描き、その実現に向けて一直線に進んでしまいがちです。その結果どうしても、一歩引いて、その技術が生み出す社会的な影響を、客観的に見ることを忘れてしまうのです。 目覚ましい技術革新の一方で、実は、コンピュータの基本的な仕組みや考え方そのものは、50年以上変化していません。また、コンピュータサイエンスで扱う中心的な問題も、40年前くらいに提案されたものが、あまり形を変えずに残っています。つまり、「どんな仕組みを使って、問題のどの側面を扱い、どう解決するか」の基本的な考え方の型は、半世紀にわたり大きく変化していないのです。コンピュータは、コストの効率化や物理的制約を考慮して、最適な解決策を出すことは得意です。しかし、その技術が個人の心理や認知行動、さらには集団や社会に及ぼす影響については、十分に議論がされていないのです。 コンピュータサイエンス研究がさらに社会の役に立つためには、問題の立て方そのものに着目することが大切です。今ある技術の延長線上で問題を捉えるのではなく、人や社会が抱えている課題から問いを立て、その解決を通じて新しい技術を生み出すという、本来の課題解決のプロセスに立ち戻ることが必要です。 このような問題意識から、この研究プロジェクトでは、科研費学術変革領域(A)の「社会変革の源泉となる革新的アルゴリズム基盤の創出と体系化」の計画研究の一部として、コンピュータサイエンスの新しい問題群と、その解決の方法を生み出すことを目指しています。 このプロジェクトの詳細について、詳しくは以下を参照してください。
科研費 学術変革領域(A)に採択された、「社会変革の源泉となる革新的アルゴリズム基盤の創出と体系化」では、社会と他分野をつなぐ「社会課題に基づいた問いの定型化と実装」と、その実装を下支えする理論を構築する「革新的アルゴリズム基盤を構築する理論と技法」の2つに分けて研究を進めています その2つを融合することで、アルゴリズム研究を、多分野、多領域の研究者や技術者が活用できる研究領域として確立することをめざしています。また、新しい領域をチームで生み出す過程を通じて、これまでにない新しい視点や、理論、技術を人とともに生み出せる、未来のコンピュタサイエンス研究を担う若手研究者の育成をすることが大きな狙いです。
詳しくはこちら私たちの研究グループは、コンピュータサイエンス分野、特にアルゴリズム研究に、多分野と社会の視点を取り入れて、「新しい問い」を生み出すための議論しています。 「いやいや、新しい問いを立てる以前に、アルゴリズム研究にはまだ解けていない問題がたくさんあるじゃないか」と思われるかもしれません。なぜ今、わざわざ「新しい問い」作りに取り組むことが必要なのでしょうか? この疑問に答えるために、本プロジェクトに関わっている、公立はこだて未来大学教授、中小路久美代先生がよく引用されている、「ロボット馬」の逸話をご紹介しましょう。
まだ車や電車を誰も見たことがない時代に、一人の馬車の技術者がいました。そこに、21世紀の未来からロボット技術者がタイムトリップしてきました。ロボット技術者は馬車技術者に、ロボット技術を教えることになりました 馬車技術者は、「この技術でもっと速く走るロボット馬を作って、効率よく物を運べるようにしたい」と考えました。ところが、生きた馬車馬を模倣してロボット馬を作る技術は複雑です。四足歩行で速く移動できる技術、手綱で叩くと加速するセンサー技術、移動先でエネルギーを補給させる技術...、などなど、解決しなければならない課題が山のように生まれてきます。そのためには膨大な技術革新が必要です。 それを見ていた未来のロボット技術者は尋ねました。「効率的に物を運びたいのなら、トラックを作ればいいじゃないか。」
この馬車技術者が本来解決したかった問題は、「どうしたらより速く、効率的に物を運べるか?」だったはずです。それなのに、馬車とロボットという既知の解決策の延長線上で、技術者は「馬車で荷物を運ぶためには、馬がもっと速く走らなければいけない」という考えに囚われてしまいました。その結果、列車や車を発明するといった、他の可能性に気づかないまま、ロボット馬を作るための技術を、過度に先鋭化してしまうかもしれません。 この逸話に似たようなことは、現実でも起きています。身近な例では、日本のTVが映像美を追求しすぎて技術がガラパゴス化・高額化してしまった例などです。技術革新自体が目的化してしまい、人々が本当に必要としているものを作ることから、目的がずれてしまうのです。過ぎたるは及ばざるが如し、の言葉通りの商品になってしまうのです。 また、「ロボット馬でなくトラックを開発すべき」と解決策を変えた場合には、そこから新たな問題が派生していきます。木の車輪からゴムタイヤに変えることによる環境的な問題点、交通ルールの整備、安全性など、ロボット馬を考えている限り想定されなかった、全く新しい問題群に取り組むことになります。 人々が、社会が、本当に解決したい問題はなんでしょうか?その解決のために必要な技術とは?私たちは、その原点に立ち戻って、ちゃんと問題そのものの価値を見直さなければなりません。 本来解決すべき問題とその本質に注目すると、今取り組んでいる研究課題とは別の、よりみんなが解決したい重要な課題が見つかる可能性があります。今取り組んでいる課題の隣に、有益で興味深い他の課題があるかもしれません。だからこそ、社会の視点から本当に解くべき問いはなんなのかを見直す必要があるのです。
問いを立てることは、それ自体が一つの磨くべき「技術 = Art」です。研究者にとって、問いを立てることと、それを解くことは、本来異なる技術です。しかし、研究者は仕事柄、問いを立てることよりも、問いを解くための思考と技術をより研鑽しやすい傾向があります。意識的に行わなければ、自分の中になかった新しい問いを、人との対話の中で発見して、挑戦的な研究に取り組む機会は限られてしまいます。 コンピュータサイエンスが発展するためには、幅広い分野の人々が研究に協力してくれる環境が必要です。そのための鍵となるのが、「新しい問いを立てる技術」だと私たちは考えています。 問いは分野や業界、個人の持つ世界観を超えて共有資産です。「新しい問いを立てる技術」はそれ自体、研究者が社会とつながる強力なツールになります。さまざまな背景を持った人々が共感できる新しい問いを立てるためには、自分の思考の枠組みの外にある他者の思考を積極的に取り込む技術が必要だからです。
新しい問いを生み出すためには、本当に解決すべき社会の課題はなにか、今ある技術や解決策にとらわれて見落としている側面はないか、問題を捉える他の考え方や価値観はないか、など、一つ一つ丁寧に考えて議論していく必要があります。そのためには、分野の異なる人々と議論することが最も効率的です。一人で考えるよりも、多様な人々が集まって、異なる考え方の枠組み、方法、価値観を持ち寄って議論をするほうが手っ取り早いのです。 だからこそ、私たちが取り組んでいる「新概念に基づく問題創出・定型化」研究プロジェクトでは、多様な分野の人々と創造的な対話をするための場の作り方と、議論をする技術を研究します。そして、議論の実践から、社会や人の視点から上手に問いを生み出すための指針と、実際にコンピュータサイエンスが取り組むべき、新しい問題のカタログを作ります。そして、発見された気づきを、誰もが利用できる形にまとめ、言語化していきます。 議論の実践には、これまでアルゴリズム研究が関わることの少なかった、人文社会学や応用分野の研究者が関わっています。研究背景が大きく異なる分野のメンバーが集まって対話することで、それぞれが普段当たり前だと思っている前提を、ニュートラルに捉えることができます。その上で、メンバー同志がお互いに、自分がよって立つ価値観、経験、理論と技術を改めて交換し合うことで、新しい目で、課題を捉え直すことができるのです。
融合研究の必要性は、よく議論されています。政府は融合研究を増やすためにファンディングを積極的に行っています。大学や研究機関、学会でも、すでに多くの取り組みがされています。ですが、問いありきの融合研究が大半で、問い自体を立てる段階から一緒に行う融合研究は、まだ活発に行われていません。その理由は、問い立ての議論を融合的に行う技術そのものが、まだアカデミアで洗練されていないからだと考えています。 「融合研究」には、つぎの4つの分類があります。
この4つのうち、よく行われているのは1〜3のタイプの融合研究です。これらはいずれも、WhatとHow(何をどのように研究するのか)を融合します。研究技術、方法論や研究データの処理の仕方、研究テーマ、問いなどを、2つ以上の分野から借りあうことで、新しい知識を作るのです。今ある知識と技術を表層的に掛け合わせると、新しい結果は作れますが、交換される元の知識や技術自体には変革は起きません。 4の「根源的な方法論そのものを想像する融合研究」は、さらに深く、Why(なぜその研究を行うのか・なぜその問いなのか?)を一緒に作る融合研究です。そこには、分野そのものとそれを扱う研究者自身の内面的な変化が伴います。これが、私たち研究グループが目指す、融合研究の新しいかたちです。 参加メンバーは、自分たちがよって立つ研究分野の前提をあえて崩すことから議論を始めます。ファシリテーターは、研究者がひとりの人間として、自分の研究分野を相対的にとらえて、個人の興味や熱意、価値観を掘り下げることで、社会や人々に共通する集合的な問いを発見できるように議論を促します。そうすることで、分野の枠組みにとらわれない、社会にとって重要な問いを発見することができると考えています。そうして深層的な融合によって生み出された問いは、2つの研究分野を掛け合わせて起きる改善(Improvement)よりも、さらに大きな変革(Innovation)の源泉になるのです。 個人が自分の考えをさらけ出す、根源的な分野融合の議論は、簡単ではありません。議論を効果的にするためには、メンバー間の信頼関係と、専門分野の荷をおろして内面を語れるような、心理的な安全性のある場づくりがとても大切です。メンバー一人一人が、全人格と能力を120%出し切れる議論の技術と、そのための環境づくり、この2つのノウハウを、この研究を通じてまとめていきます。
新しい問いは、自分と考えが異なる人との対話で作る方が効率的です。一人どころか、一つの分野の研究者が集まっただけでもうまくできません。同じ考え方の枠組みを共有した同分野の人どうしだと、専門の内側の話をしがちになってしまいます。いつもの研究テーマでも、議論に新しい人が入ったり、多分野の専門家が集まって話をすると、かなり広がりと深まりが違ってきます。 研究者は普段からいろいろなことを考えています。一人一人のよって立つ理論や考え方、人生経験や価値観などを持ち寄り、その一つ一つの埋れた才能や知識を議論のなかで生かすことができたら、今までになかった素晴らしいものが、かならず出てきます。だから議論をすること、それだけでなく「上手に議論をすること」がとても大切なのです。 「上手に議論をすること」は、「問いを立てること」と同じぐらい大切でありながら、意識しなければ磨かれづらい技術です。 研究者は、人がもたない知識を持っているはず。他の人にも共有できて役に立てるような技術を持つことで、さらに輝く存在になります。だからこそ、みんなで考えて登れる山を作り、一緒に考えることが必要なのです。
研究者が、特定の分野で成功するためには、必ずしも、分野融合的な問いの立て方、議論のしかたが上手である必要はありません。その分野内で、重要だと認められる問いを立てて、うまく解決できれば、研究者としてちゃんと評価されます。それならば、なぜ研究者は、このような「みんなで山を作る」活動に参加するのでしょうか? これには、研究者がどのような存在なのか、研究者とはどんな人たちなのか、の説明が必要です。 研究者は、観察して考えること、考える力を鍛えることが好きな人たちです。つまり、知的なアスリートなのです。世界を観察して、自分が疑問に思うことを、なるべく自分の力で解決したい、という純粋な欲求を持っています。観察し、問いを立て、解きかたを考えること自体が楽しくて仕方がない人々です。それがどんどんうまくなって、強い研究者になっているという実感が、研究者を続けていくモチベーションになります。 これには、研究者がどのような存在なのか、研究者とはどんな人たちなのか、の説明が必要です。 研究者は、観察して考えること、考える力を鍛えることが好きな人たちです。つまり、知的なアスリートなのです。世界を観察して、自分が疑問に思うことを、なるべく自分の力で解決したい、という純粋な欲求を持っています。観察し、問いを立て、解きかたを考えること自体が楽しくて仕方がない人々です。それがどんどんうまくなって、強い研究者になっているという実感が、研究者を続けていくモチベーションになります。 多様な人と議論することは、研究者にとってこの筋トレを行う一番効率的な方法なのです。たくさんのことを発想できる力、人が気づいていなかったことを見出せる力、それが問いを立てる力の核です。しかし、この観点から研究者をとらえて、分野融合を扱った研究はほとんどありません。このプロジェクトでは、研究者という存在を掘り下げて、一人一人がより強い研究者になるための分野融合の方法を研究しています。
(1)未来のアルゴリズム研究者が取り組むべき「新しい問題群カタログ」を生み出す これまでに情報科学分野の研究者が注目してこなかった社会現象や、概念・構造を持つ問題にアルゴリズム研究の視点から新しい光をあて、未知の問いを発掘します。また同時に、従来のアルゴリズム研究で扱われていた伝統的な問いに、他分野と社会の視点・価値感を取り込んで新しい光をあて、既存の課題に新しい側面からアプローチする問いを作ります。この活動で重要なポイントは2つあります。
ここで重要なポイントは、「問い立て」と「解決」を分業し、「問い」に着目することです。そうしないと、問題を作る時に、今ある解決方法に引きづられて、自分達が解決できる問題しか作らなかったり、考える範囲が範囲がとても狭くなってしまうからです。 私たちは、問いだけに着目し、解決方法をあえて入れない問題群カタログを公開することに。価値があると考えています。問いは、見た人にインスピレーションを与え、解決してみたいという思いを生み出す、きっかけになるからです。 ほとんどの研究分野では、問いの数よりも、解く方法を研究したもののほうが圧倒的に多いのが現状です。論文を見ても、一つの研究テーマに対して多くの論文が集中的に出版されがちです。しかし、社会がより生産的になるためには、問いの数が解答よりも多い方が理想的です。
研究に値する問いを作るときには、解くこと自体にクリエイティヴィティが求められる問いに絞ることが大切な条件です。問いの中には、立てた瞬間に解ける問いもあります。情報科学は、解く方法を考えることそのものが研究ですから、そこに面白みが必要なのです。 情報科学で、問いに新しさがあり、かつ解くことがクリエイティブな問いは、大きくは次の3種類に分類されます。
時間とコストだけしか考えていない。一番いいものをコンピュータが出して、このとおりにいけ、とそのまま指示する。タクシードライバーならこうは言わない。工場のスケジューリング、物流の配送計画など、働きやすさ、公平性、納得がいく、人と交渉しやすい、、、などのパラメーターは入っていない。)
(ブロックチェーン、などなど。どうしましょう?技術はあるが使い方は不明。こうつかっちゃってるけどこれでいいの?画像検索、、、こんな社会で大丈夫なのか?これ以外のやり方は?これは一体この結果でいいのか?個人や社会はどうなっちゃってるのかは考えていない。)
(社会の問題:いじめ、自殺、価値観の画一化、受験戦争、デマを信じるなどなど。ニーズベース:会議を効率よくやるには?頭を鍛えるにはどういうAIがあるか)
(1)で生み出された新しい問題群を眺めると、その問題を作る時に取り入れた色々な新しい価値、ものの見方や考え方、古い情報科学の問いに、共通して欠けていた観点などを見出すことができます。具体的な問題から、そのような共通性、上位概念をボトムアップで抽出します。上位概念は、個別の問題にバックグラウンドや意味、価値を与える根拠を下支えすることに役立ちます。それらの上位概念を、問いを立てる時の指針として言語化することで、新しい問いを立てる時に、トップダウンで問いを見直すことに活用できます。
新しい問いを立てる具体的な参考事例とメソドロジーは、今まだ確立されていません。新しい問いを実際に生み出す社会実験を通じて、上手に問いを生み出すための基軸となるメソドロジーの確立を目指します。よりうまく問いを立てる方法を見出して、研究コミュニティに共有することで、強い研究者を増やし、それを通じて学問(研究)をよくする、より効率的に研究の質を向上する動きに繋げたいと考えています。