アナログホールを克服するセキュリティ技術の研究
スクリーン盗撮防止技術(工学院大学との共同研究)
映画用スクリーンは,音響と映像を一体化させるために,スクリーン直径 1mm程度の無数の穴(サウンドホール)があり,この穴を通して,スクリーン背面に設置したスピーカーから観客席に音響信号が伝わるようになっています.本システムの近赤外線光源は上記のホールを通してノイズ光を照射するため,スクリーン自体を加工することなく,本システムを組み込むことが可能です.また,Bartley 効果に基づいて本システムの赤外線光源を 10Hz 近傍で点滅させることで,盗撮映像に対する妨害効果を高めています.
スクリーン盗撮防止技術の妨害効果
ディスプレイ盗撮防止技術(工学院大学との共同研究)
- 国立情報学研究所ニュースリリース,“人間とデバイスの感度の違いを利用した映像の盗撮防止技術―市販のビデオカメラによる映画の違法な撮影を防止―”,2009年9月17日
- 国立情報学研究所ニュースリリース,“人間とデバイスの感度の違いを利用したディスプレイの盗撮防止技術―ディスプレイの盗撮による機密情報や個人情報の漏えいを防止―”,2011年7月4日
- NII Today No.51,特集:セキュリティ,「NII Interview:デジタルとフィジカルの狭間で盗撮を防ぐ」(2011年2月)
- 山田隆行, 合志清一, 越前 功, “人間とデバイスの感度差を利用した映像の盗撮防止方式”, 情報処理学会論文誌, Vol.52, No.2, pp.877-889(2011年2月)
- T. Yamada, S. Gohshi, and I. Echizen, “iCabinet: Stand-alone implementation of a method for preventing illegal recording of displayed content by adding invisible noise signals,” Proc. of the ACM Multimedia 2011 (ACM MM 2011), pp. 771-772 (November 2011)
- T. Yamada, S. Gohshi, and I. Echizen, “Countermeasure of re-recording prevention against attack with short wavelength pass filter,” Proc. of the 2011 IEEE 18th International Conference on Image Processing (ICIP2011), pp. 2753-2756 (September 2011)
- T. Yamada, S. Gohshi, and I. Echizen, “Re-shooting prevention based on difference between sensory perceptions of humans and devices,” Proc. of the 17th International Conference on Image Processing (ICIP 2010), pp.993-996 (September 2010)
- 朝日新聞 朝刊2面,“ひと = 映画の盗撮を防ぐ装置をつくった 越前功さん”,2009年10月20日
- 日本経済新聞 朝刊 (34面,社会面) 「パソコン画面 盗撮防止 情報学研 赤外線活用、実用化急ぐ」,2011年7月5日
既存のディスプレイの前面に設置するだけで,画面の盗撮を無効化する盗撮防止ユニットを開発しました.この盗撮防止ユニットは,既存のディスプレイの前面に設置するだけで,ディスプレイの通常の視聴には影響を与えません.一方,デジタルカメラでこのユニットを設置したディスプレイを撮影すると,撮影画像の全面に近赤外線によるノイズが重畳し付加され,ディスプレイに表示された情報の可読性が著しく低下します.また,この盗撮防止ユニットは,ディスプレイに表示された機密情報や個人情報の漏えい防止用途だけではなく,美術品や工場内設備などの実物体の盗撮防止用途にも適用可能です.
ディスプレイ盗撮防止技術の妨害効果(左:ノイズ効果なし,右:ノイズ効果あり) |
開発した盗撮防止ユニットは,既存のディスプレイの前面に設置するだけで,ディスプレイの通常の視聴には影響を与えません.一方,デジタルカメラでこのユニットを設置したディスプレイを撮影すると,撮影画像の前面に近赤外線によるノイズが付加され,ディスプレイに表示された情報が読めなくなります.