過去の研究内容
インターネットの普及により,携帯端末やパソコンから場所や時間を選ばずに映画や音楽などのデジタルコンテンツを楽しめる便利な世の中になりました.デジタルコンテンツは,フィルムや印刷物などのアナログコンテンツに比べて,複製,加工,配布が容易なため,誰でも手軽にデジタルコンテンツを作り,世の中に配信することができるようになりました.しかし一方で,コンテンツの不正な複製,加工,配布もまた容易なため,コンテンツの作成者やその流通に関わる人たちの権利を侵害する可能性があります.本研究室では,デジタルコンテンツの円滑な流通を目的として,情報ハイディングや匿名化技術などの要素技術の研究や,コンテンツの著作権保護やプライバシー保護を実現するシステム技術の研究に取り組んでいます.本研究室で実施しているプロジェクトの一例をご紹介します.
アナログホールを克服するセキュリティ技術の研究 Read More >>>
我々が日々入手・発信する個人情報などのデータや,映像コンテンツといった様々なデジタル情報は,情報漏えいや著作権侵害といったリスクを常に抱えています.これらのリスクを回避するために,暗号を用いたデジタル情報の不正コピー防止技術が広く利用されてきました.しかし,これらのデジタル情報をディスプレイやスクリーンに表示することで一旦アナログ化し,デジタルカメラ撮影により再度デジタル化することで,暗号を無効化してしまう問題(アナログホール問題)が指摘されています.特に近年,映画館でスクリーンに表示された映画を盗撮し,海賊版として販売する著作権侵害事例や,ディスプレイに表示された医療情報や空港管制情報を盗撮して公開する情報漏えい事例が多発しており,このような盗撮を防止する対策が求められています.
このような背景から,ディスプレイやスクリーンに表示されたデータやコンテンツの盗撮を防止する技術を開発しました.この技術は,人間の視覚と撮像デバイスの分光感度特性の違いに着目し,人間の視覚に影響を与えずに撮影画像にノイズを付加する近赤外線光源をディスプレイやスクリーン側に設置することで,既存のデジタルカメラに新たな機能を追加することなく,盗撮を無効化することが可能です.本技術は,映画館における盗撮防止用途や,ディスプレイに表示した機密情報や個人情報の盗撮防止用途のほか,美術品や工場内設備などの撮影禁止物の盗撮防止に役立つ技術として広範囲な応用が期待されます.
- スクリーン盗撮防止技術
- ディスプレイ盗撮防止技術
プライバシーと利便性を両立する匿名化技術の研究 Read More >>>
- プライバシーバイザー
- 匿名データ向けフィンガープリント手法
- ビジネスプロセスにおけるプライバシー保護
情報ハイディングの研究 Read More >>>
- 多様な幾何変換に耐性を持つカラー画像電子透かし
- Human Visual Systemに基づくカラー画像電子透かしに適した埋め込み基準
- 改ざん検出が可能な音声データ向け情報ハイディング