本報告は基盤研究(C)24500303、「専門用語管理支援システムの研究」の研究報告である。

専門用語管理支援システムの研究

小山 照夫
国立情報学研究所
t_koyama@nii.ac.jp

    

竹内 孔一
岡山大学大学院自然科学研究科
koichi@cl.cs.okayama-u.ac.jp

概要

 様々な研究分野において、用語の整理と管理は重要な課題であると認識されているにもかかわらず、実際には十分な管理が行われている分野は少ない。
 用語管理が十分に行えない背景には、用語管理のための専門家を数多くそなえる必要があることに加えて、用語管理のためのシステム的枠組みが整備されていないという問題がある。
 本研究では、用語管理の枠組みを提供するシステムの要件を明かにし、実際に稼働するシステムを実装してその有効性を確認することを第一の目的とする。

 用語管理において大きな労力を要するのが、基礎資料としての文献から用語となりうる部分を選択する作業である。システムは従って、この作業を支援する機能を備えることが望まれる。
 テキストからの用語抽出を支援する方法として、基礎資料としてのテキストをデータベース管理すると同時に、テキストからの用語抽出を機械的に行う機能を備え、抽出すべき用語の提案を行う機能を備えることが望まれる。研究代表者等はこれまでに日本語専門文書からの用語抽出システムを開発してきており、この機能を利用することが考えられる。
 本研究の第二の目的は、用語抽出システムのアルゴリズムを見直し、用語抽出性能を向上させることによって、より高度な用語抽出支援を行えるようにすることである。

 報告の本体は、一連のPDFファイルとして用意してある。

参考文献

    専門用語管理支援システムの研究”は、研究全体の概要を紹介するものである
    専門用語管理支援システムの実装”は、作成したプロトタイプシステムの実装について説明するものである。“システムソース"にシステムソースを置いておく
    小山照夫、竹内孔一、“用語管理支援システムの開発”情報処理学会研究報告、SIGNL-212, 2013. は、作成したプロトタイプシステムの背景と検討事項を示すものである
    濱田宏平、竹内孔一、小山照夫、“用語間関係を一貫して登録できる用語管理支援システム”言語処理学会第20回年次大会(NLP2014), 2014. は、データベース一貫性を考慮したシステム改訂の試みについて述べたものである
    専門用語抽出における形態素辞書変更の効果”情報処理学会研究報告、SIGNL-218,2014.は、用語抽出性能向上のための形態素追加について論じたものである
    形態素解析の系統的誤りと用語抽出”情報処理学会研究報告、SIGNL-220 2014. ,は、用語抽出性能向上のために形態素解析誤り位置を推定し、正解に書き換える試みについて述べたものである
    外来語の扱いを考慮した日本語専門文書からの用語抽出”言語処理学会第21回年次大会(NLP2015), 2015. は、最近の科学技術分野の専門文書に頻出する外来語を含む用語の取扱いについて述べたものである