平成29(2017)年11月1日に新設された医療ビッグデータ研究センター (Research Center for Medical Bigdata, RCMB) では、医療ビッグデータクラウド基盤を構築することと、AIなどの機械学習を利用した画像解析の研究に取り組んでいます。

何が問題なの?

日本の社会が高齢化し、医療ケアの必要性がますます増えているのに若い働き手の数が減って、お医者さんの数が足りなくなってきています。特に地方では専門医の数が足らず、一般医が広い範囲の診療科を診なくてはならない状況です。また、先進的な診断・治療技術が次々に開発されていて、現代のお医者さんは限られた時間の中で高度な医療技術の習得、習熟が求められています。つまり、幅広い診療科の高度医療技術に習熟した数少ないお医者さんが、増え続ける患者さんの診療に日夜あたる状況に陥っています。でも、お医者さんも人間です。こんな状況はいつまでも続かないでしょう。

どうやって解決するの?

私たちは、ITを利用してこの問題を解決します。専門医の高度な知識や技能をAI (Artificial Intelligence)に学習させ、このAIのお医者さんをインターネットのクラウドに置きます。そうすれば、日本全国どこからでも、インターネットに繋がる環境さえあれば、一般医も専門医の知見や技能を得ることができます。もちろん、AIのお医者さんが人間のお医者さんを置き換えるような大それたことは目指していません。最終的に診断を確定し、治療方針を決定するのは人間のお医者さんです。クラウド上のAIのお医者さんは、人間のお医者さんの手助けをする存在です。

どんな研究?

当センターには、二つの研究の柱があります。一つはクラウド基盤を構築する研究、もう一つは機械学習を利用したAI画像診断技術を開発する研究です。AIによる画像診断の精度を高めるには、深層ニューラルネットワークの設計もさることながら、学習させるデータの質と量がとても重要です。クラウド基盤に質の高い学習データを大量に収集し、このデータを用いてAI画像診断の研究を進めます。

  • クラウド基盤
  • 匿名化した大量の医療画像データを格納するファイルサーバー(ストレージ)と機械学習を行う計算(GPU)サーバーから構成されるオンラインプラットフォームを構築します。クラウド基盤は高速・頑健・安全な学術情報ネットワークSINET5で学会や研究者とつながります。
  • AI画像診断
  • クラウド基盤に大量に収集した医療画像データを教師データとしてAIなどの機械学習を行い、画像診断支援のためのプロトタイプ研究を行います。ここで開発した技術がAIのお医者さんとして将来の医療クラウドサービスの基礎となります。


当センターの研究の一部は、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構 (AMED)から研究資金の提供を受けています。また、大量の医療画像の受け入れ、収集、および、それに関連する個人情報保護は医学系7学会*との連携を通じて行ないます。AI画像診断の研究は、東京大学名古屋大学奈良先端科学技術大学院大学九州大学中京大学の各研究室の協力を得ています。

*: 日本病理学会日本医学放射線学会日本消化器内視鏡学会日本眼科学会日本皮膚科学会日本超音波医学会日本医療情報学会 (順序不同)