国立情報学研究所オープンハウスは、NIIで行われている研究を一般の方々に発表する、年に一度の一般公開です。小学生を対象としたプログラミングワークショップから産官学連携を見据えた企業向けセミナーまで、いろいろなプログラムやイベントを通してNIIの研究活動をご紹介する2日間です。

NII Open House

毎年恒例の情報研オープンハウス、2018年は6月22日金曜日と23日土曜日に開催されました。初日はおもに一般の方、二日目は午後から雨の降るあいにくのお天気にも関わらず、たくさんの子どもたちにも来ていただきました。ありがとうございました。

NII Open House 2018 Poster

基調講演では、東京大学の五神真総長よりSociety 5.0の実現に向けた国立情報学研究所への期待と題して、お話していただきました。狩猟・農耕・工業化・情報化に続く社会変革をSociety 5.0と定義し、変革は今まさに起こりつつあると認識しています。国連が2015年に採択したSDGs (Sustainable Development Goals) を受けて、東京大学は未来社会協創推進本部(FSI, Future Society Initiative) を2017年7月に設置 (本部長は総長) しました。FSIでは、SDGsの理念、つまり人々の多様性を最大限に尊重した持続的社会発展を目指し、グローバルな社会連携を強化して多様な人材が自由に能力を発揮できる研究・教育環境を構築しています。SDGsが目指す社会では、これまでの労働集約的社会から知識集約的社会へ社会構造が変革します。この変革にあって、情報の流れはますますその重要性を増すことから、我が国の情報学の担い手としてのNIIへの期待を述べました。

NIIの喜連川優所長は、AI研究を加速させるために政府の保持するデータを開放するとのアメリカ合衆国政府の声明を引き合いにして、AI研究の燃料としてのデータの役割、データをオープンにして誰でも利用可能にする取り組みの重要性を説きました。また、国立情報学研究所活動報告として、NIIで進行している研究テーマやプロジェクトについて、その狙いと期待される成果を社会との関わりとの観点から分かりやすく説明しました。

基調講演の第二部では、RCMBの活動がメイントピックでした。RCMBで研究協力をいただいている九州大学大学院の内田誠一教授『目で見て診断する』医療をAIで支援すると題して、RCMBで進行中のAI画像診断の内容をお話していただきました。続いて、NIIの合田憲人教授から、RCMBの研究活動のもう一つの柱である医療画像ビッグデータクラウド基盤について講演しました。

RCMBの展示

私たちもRCMBの活動を広く知っていただくために、ポスター展示を行いました。ポスター展示のみでエントリーしたのですが、なぜかデモ・体験コーナーでの展示となりました。佐藤センター長のラボの楽しい画像検索デモ展示とお隣。子どもたちのウケは、楽しくお絵描きできる画像検索デモのほうが良かったです。当たり前ですね。

デモ・体験コーナー – 田村さんが走っています。いつも、お疲れさまです。来年は何か動くものを見せたいなあ…

来訪者の方々の健康・医療への関心は高く、AIで画像診断する仕組みや診断できる病気の種類など、質問をたくさんいただきました。コアタイムには村尾・田村・二宮が輪番で常駐し、説明にあたりました。 来訪者の質問に答える佐藤センター長 – 忙しいときには、佐藤センター長も応援にかり出されました。

佐藤センター長は動画撮影もされていました。 動画取材を受ける佐藤センター長 – この取材は編集されて、いずれNIIのYouTubeチャンネルに載るそうです。楽しみですね。

ビットくん来訪

ちゃんとポスターの前に常駐して説明責任 (?) を果たしているかどうか巡視中の情報犬ビットくんに、ポスターに無断使用したビットくんを見つけられてしまいました。なんとか丸く収めて記念撮影に持ち込み、ちゃっかりポスター説明を手伝ってもらいました。 ポスター説明を手伝ってくれるビットくん – ご協力、ありがとうございました。

おまけ

サイネタリウム (SINETARIUM) – SINET5 を流れる情報を可視化したプロジェクションアート作品が1階エントランスに展示されていました。データの種類ごとに表示方法が変わり、この写真を撮影した時は今年の5月1日の全国の医療情報データのバックアップの様子を可視化していました。この展示は8月31日まで、平日の10:00〜18:00に行われる予定です。