研究内容

ネット社会の経済学
–空間的制約のないサイバー社会での過当競争の防止 –

安値競争と高値商売

価格比較サイトにおける年間10億件以上の店舗と消費者のログを解析しました。

価格情報が手軽に手に入り、安値に一斉に飛びつき在庫がなくなり価格が高騰。世界規模の競争は価格雪崩を起こします。

数分から数時間単位で、1円から数百円の価格変動が発生し、さながら価格は株価のように不安定です。

好みの多様性
– 高くても買う消費者 –

ネット世界で経済学者は一物一価の成立を期待しましたが、人の好みは多様性に富み、一物一価は全く成立しませんでした。

たしかに、1円安くなればお客が2割増えますが、どこよりも安くしても7割程度のお客しか獲得できません。

人はお店に対する好みが3割あるのです。逆を言えば、いくら高くしても店舗の個性で3割のお客様は付いてきます。

モデル化

Step 1 消費者は確率θで好みの店を複数選びます。好みの店の中から一番安い店で買います。

Step 2 店舗は確率φで競合店を複数選びます。競合店より1円安い価格を提示します。

Step 3 消費者と店舗は常に価格をチェックしているわけではなく、価格が動くと頻繁にチェックするようになります。

フェアな価格とは

ネットでは需要がよく分かるので、ついつい需要にあわせて不当に価格を吊り上げると、消費者に嫌われて長期的な収益が減ります。

[1] Takayuki Mizuno, Tsutomu Watanabe (2013) PLOS ONE 8, e72211.

[2] T. Mizuno, M. Nirei,T. Watanabe (2013) Evolutionary and Institutional Economic Review 10, pp. 93-105.

研究内容一覧

Mizuno Laboratory