KOIBUCHI LABORATORY

研究

水没コンピュータ In-Water Computer

半導体プロセスの微細化にともない、チップの熱密度が大きくなっています。そのため、消費電力のみならず、冷却がチップ性能のボトルネックとなる可能性が大きくなっています。そのため、最近のCPUでは、強力な空冷や液浸による冷却技術が採用されはじめています。液浸冷却の場合、汎用のコンピュータシステム全体あるいは一部を液中に沈めるため、優れた電気絶縁性が要求されます。この点で、フロリナート、NOVEC、各種鉱物油が一般的な候補です。これらの液浸冷却は空気冷却の場合と同様に、流量が大きくなるにつれて熱伝達率が大きくなります。
一方、本研究では、水*1を用いた直接液浸冷却*2を探究します。水の直接液浸冷却(以後、単に水没冷却と呼ぶ)を実現するためには、電気絶縁性が必要となります。そこで、我々は液浸させるコンピュータシステム全体にパリレン膜 数十μmでコーティングします。そして、コーティングされたコンピュータシステムを水中に設置することで優れた冷却を実現します。水没冷却の利点は(1) 同流量では電気絶縁性のある他液体よりも熱伝達率が約4倍程度優れていることと、(2) 水は他の液体と比べて取り扱いが容易であることです。水没冷却の欠点は、(2) 耐久性が保証されていないことと、(2) 故障PCパーツの交換が困難であることです。

  • *1 ほぼ電気を通さない超純水ではなく、安価かつ保管が容易な自然水や水道水を指します。
  • *2 フロリナートなどの液浸冷却も、フロリナートを外部から冷やす2次冷却材として水が間接的に利用される。その区別のため直接液浸冷却と呼びます。
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